日本では、大塚家具などのお家騒動や親子喧嘩が、オーナー(同族)経営の弊害という切り口で、経済専門誌やテレビニュースでよく取り上げられます。しかし、大学の経営学部等で学ぶ「資本と経営の分離」した大企業はほんの一部です。上場企業でも同族経営は数多くあります。「日本の常識は世界の非常識」です。一部の世界的な多国籍大企業を除くと、実はオーナー(同族)経営こそが国際標準です。

実証研究によるとオーナー経営の方が長寿で業績が良いことが分かってきました[後藤俊夫(日本経済大学教授)監修『ファミリービジネス白書2018』(2018年5月発行)]。

オーナー(同族)経営が国際標準になっている理由は、次の3つです。

①合理性…資本と経営が一体となったシンプルな経営体制であり、企業規模の大小にかかわらず、意思決定の迅速性(→経営方針実行の徹底)、長期的な視野での事業展開が図りやすい合理的な経営方法です。

②国際性…日米欧の先進国だけでなく、中国、インド、ASEAN(東南アジア諸国連合)といった新興国など、世界中に普遍的に見られます。日本でいう同族経営は、世界では「ファミリービジネス」と言われています。

③歴史性…人類が商売・事業を始めた時から試され済みの経営方法であり、現在も世界中で採用されています。

しかも、東芝問題に見られるように、同族性の全くない大企業であっても、経営者が暴走してしまうと、ガバナンス(企業統治=取締役会、監査役会、指名等委員会、監査法人、大株主、メインバンク、労組などの内外の利害関係者による牽制、歯止め)がまったく利きませんでした。この事例で分かる通り、経営上の弊害と同族性にまったく関係がないとは言えませんが、直接の関連がないことは明らかです。同族会社であっても世界的な大企業であっても、レベルは異なるにせよ、ガバナンスを利かせた健全な経営が求められる点では共通します。

いずれにしても、経営上の弊害と同族性には直接的な関連はありません。多くのオーナー(同族)経営者は、同族経営・同族会社のトップであることに大いに自信を持って、従来通り経営に取り組んでいただきたいと思います。

近年は後継者不足が深刻で親族外承継の割合も増えていますが、同族内に後継者がいれば「ぜひとも同族経営を続けて欲しい」というのが、中小企業を支援する多くの関係者の本音です。

コンパッソ税理士法人 コンサルティングチーム/多田恵一